のほほん

*建築士さんを探せ

展示場巡りを開始してから、たくさんのメーカーを知り、たくさんの建物を見た。
信頼できそうな営業マンにも出会えたし、一生を左右する「家」や「ローン」について ちょっと話し合いたくないタイプの営業マンもいるんだって事も気付いた(笑)。

メーカー毎の工法やその特性・最新設備の数々も、体で感じる事ができた。
建築業界も、たくさんの会社が切磋琢磨して、本当に便利で素敵な家を建てる為に、 数々の工夫や努力をしているんだ・・・って、しみじみと感じる事ばかりだった。

・・・でも、何かピンと来ない。
展示場を見て回る程、「どこで建てても同じなんじゃないか?」って気がして来てしまって、 結局は『金額』ばかりに目が行ってしまう私。
やっぱり、旦那も同じだったみたいだ。

旦那と言えば、元々『建てたい家』の理想を持っていて、以前から住宅雑誌を立ち読みしたり、 素敵な家を紹介するようなテレビ番組なども、好んで見ている人。
だから特に、メーカー住宅を建てるとなると、私達の出せる予算では「最低ランクのプラン」を選ばざるを得ない事、 「必要な部屋数を確保するだけで精一杯」と言う現実が、相当厳しかったようだった。
打ち合わせを重ねる度に、段々と暗くなって行く気持ち。
やはり私達には、マイホームを持つなんて事は大それた夢だったんだろうか・・・。

でも・・・。 それでも、やっぱり家が建てたい。

大きなローンを組んで数十年と住む「家」である以上、こだわりたいし、軽々しく妥協はできない。
「家」に掛けられる費用を増やす為に、私が不妊治療をやめてフルタイムで働くって事も考えてみたけれど、 「子供が欲しい」って気持ちだって、簡単には捨てられるものじゃない。

じゃあ、せめてもう少し貯金が増えるまで、「家」の話は先送りにする?

・・・それも無理。 一回に数十万が吹っ飛んで行く不妊治療に取り組んでいる以上は、今後の貯金なんてあてにできないし。
逆に、どんどん貯金を切り崩して行く様なもんだ。
下手すりゃ、「治療が実らず子供はできませんでした」「治療にお金が掛かって、家も建てられませんでした」 って夫婦になっちゃう可能性大だよ 私達。

このまま治療を続けたって、先々子供を授かれるかどうかは、神様にしかわからない事。 
でも「家」は、きちんと考えながら(自分の足元を見ながら)進めて行けば、今なら確実に手に入るもの。

だったらまず、「今なら確実に手に入るもの」は手に入れてしまいたいよ、私は。 その上で、子供を作る事だって 絶対に諦めないさ!(笑)。

そんな《贅沢で諦めの悪い私達》が、ひたすら足りない頭をひねり、散々話し合って辿り着いた結論は、 『建築士さんに設計をお願いして、大工さんに建ててもらおう!』ってものだった。

やっぱり、「住宅メーカー」は「住宅メーカー」である以上、たくさんの社員に給料を出さなくてはいけないし、 広告宣伝費やら展示場の建築・維持費等、経営にはたくさんのお金が必要だ。
その「お金」は、お客さまから頂かなくてはならないって言うのは、そりゃぁ当然の事。
だから、個人の大工さんが建てる家と比べたら、割高になってしまうのは仕方がない。 (もちろん、メーカーだからこそのたくさんの利点もあるけれど)。

じゃあ、大工さんと直接契約すればいいんじゃない??
きっと、金額でいったら一番安く済むと思う。

でも、せっかくならば、「設計のプロ」から、専門的な観点からのアドバイスやアイデアを聞いてみたいし、 私達が持ってる理想をひっくり返すような斬新なプランも見てみたい。
そういう事に多少お金がかかるなら、納得できるってもんだ。

よし、それで行こう!!
設計は建築士さんで、建築は大工さんだ。
『アットホーム』な関係で、『マイホーム』を建てるんだ。

こうして私達は、ようやく展示場巡りを終了し、今度は「建築士さん探し」に乗り出すのであった。

※後日談として。
「オレは前から、建築士さんに頼もうって言ってたじゃん!」と、旦那がブツブツ申しておりました。
そう言われればそんな気もするけど、すっかり忘れてたわ(笑)。
とにかく、「この事だけはしっかり書いておくように!」との指令が出ましたので、 最後に書き加えさせていただきます。

主人は初めから、建築士さんに設計をお願いするつもりでいたそうです(笑)。



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かえるライン

*島田建築士との出会い

今までの人生で、『建築士さん』なんて人に出会った事もなければ、コネも無い私達。
その建築士さんを探す為に、まず取りかかったのは、インターネットでの検索だった。 自分達の住んでいる地域名なんかを入れて、せっせと検索しまくった。
その「検索結果ページ」の一番上に出て来たのが、現在契約する事になった島田建築設計室
もちろんその他の所もいくつか検討してみたんだけれど、何かイマイチ・・・って状態だった。 そりゃ、どこもそれぞれ素敵な家を建てていて、センスも良いし、個性的で機能的。
だけど、ホームページの画像を見ながら「あぁ素敵だね〜」ってだけで、通り過ぎてしまう感じだった。

でも何故か、この島田建築設計室のホームページからは、本当に何となくだけど、 「何かやってくれそうじゃん?」って感じがしたのだ。
良い意味で、「心に引っかかる」って言うのだろうか。

しかし、各ハウスメーカーとのたくさんの打ち合わせで、色々学んだ身(笑)としては、

「建築士さんって、信用できる人なのかな?」
「嫌な感じの人だったら、イヤだな」
「騙し討ちで契約を迫られたりしないよね?」

ってな考えが、何度も浮かんで来てしまうのだ。

まぁとにかく、あれこれ悩んでみても仕方がないし、今更ウジウジしても時間の無駄だし。
「とにかく会ってみなくちゃ始まらない!」と、早速メールを出してみたのだった。 そこからは、トントンと話が進み、すぐに初の顔合わせとなった。

そして・・・。
「建築士」と言うもの(?)を初めて目の当たりにした、私達の第一印象は、
・・・「でかいっっ!」 だった(笑)。

それから、手が綺麗で指が長い!!
長年ピアノを習っていて、指が短くて哀しい思いをした経験のある私からすると、 ものすご〜〜く羨ましいモノをお持ちだった。

・・・まぁこれは、「印象」と言うより「実況」なんだけど(笑)。

そして、何と言ってもこの設計事務所、当時私達が住んでいた借家から、とぉ〜ってもご近所さんだった。
家を建てる予定の土地からだと、もっと近いし、私の実家も近い(笑)。
こんなに近所で、毎日の様に通っている道沿いに、なかなか良い感じの設計事務所があったのに、何で今まで気付かなかったんだろう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

えぇ〜と、実は私、ずっと『クワガタ屋さん』 だと思ってました(笑)。
だって、この事務所、入り口(門)の所に『くわがた』の旗と、『オオクワいます』って手作りの立て看板が立っていたから。
まぁ実際、事務所の一角で、建築士さんの奥様が『くわがた屋さん』をやっていた(当時)ので、別におかしな勘違いでも無かったんだけれど。

だけど・・・。
その「旗」や「看板」の上にある、建築設計事務所の看板は、私の目には全く入っていなかったのだ(笑)。

《クワガタを売っている設計事務所》だ。なんだか、ここ、面白そう!!

「嫌な感じの人だったら、イヤだな・・・」 当たり前で、最も重要な問題も難なくクリア。
初対面の時も、建築士さんは素敵なテンションで話してくださって(笑)、緊張していた気持ちが、簡単にほぐれてしまった。
まだ『家』については、何の話もしていないような段階で、すでに私達の中には、 「この人に、お願いする事になるんだろうなぁ〜・・・」って気持ちが、湧いて来ちゃったのである。

それから、事務所に飾られている、手作りの住宅模型の数々・・・。
うわぁ〜スゴイ! 家づくりって、面白そう!!

やっぱり『夢のマイホーム』の相談は、 こう言う『夢膨らむ・心弾む』雰囲気の中でするもんだ。

私は、一瞬で他人のアラを探すのは大得意だが(笑)、短時間で一気に、「費用」から「工法」から「プラン」から「ローン」から「世間話」までを行う、 ハウスメーカーとの打ち合わせは、非常に苦手だった。
頼まれてもいないのに、せっせとツッコミを入れたり、愛想笑いをしたりしていたが(笑)、 重要な話は、全くアタマに残っていなかったのだ。

ここなら、落ち着いて・信用して話せるぞ。
それだけで、本当に安心して、嬉しくて。
やっと『家を建てる事』が、現実的になってきた気がした。

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