とげぬき地蔵 

(佐野市大祝町)

十二月八日は、針供養の日として、昔からぬいものを習う人たちが、使い古した針をとうふにさして川に流したり、神社におさめたりするしきたりがありました。

 ちょうど、この十二月八日の朝のことです。天明町のとある商家の娘さんが、針供養のため、使い古した針をとうふにさそうと、口にくわえていた時、母親からよばれた娘さんははっとして、その針を飲みこんでしまいました。腹の中に入ってしまった針で、娘さんは、たいへん苦しんだそうです。

 ちょうどその時、通りあわせたお坊さんが延命地蔵のごりやくを話して聞かせ、地蔵様の絵を飲みこませたところ、間もなく、針をはき出し、娘さんは命びろいをしました。見ると、地蔵様の絵姿に針がつきささっていたといいます。

 それからは、このお地蔵さんはとげぬき地蔵とばれて、大祝町の成田不動尊のお堂の中にまつられています。

                                             (「佐野市史民俗編」より)

目次に戻る

ここも見てね(トップへ)